僕の身体は、固い金属で覆われている。
 僕の身体は、赤く塗りたくられている。

 僕の、ココロは。



+ + ま っ く ら な コ コ ロ + +





 自分のソウルドライブを睨みつけながら、ガーベラは黙々と作業台に向かい続けていた。
 忌々しいこの回路は、見るのも嫌になるときがある。
 それでもこうして何度か手にしなければ模造品が作れる代物でもない。

 人間と意思を通じ合わせることのない自分には無用の長物ではあるが、原理は利用できる。
 ジェネラルの側から離れられないガーベラは、手足となりえる自立型の人形を欲していた。身体は既に出来上がっている。あとは、自分の意思を持ちながらも決して裏切ることの無いAIを搭載すれば完成だ。

 正規のソウルドライブに似せた贋物を、自分と繋げてしまえば反旗を翻す前にその意識を書き換えてしまえる。
 ガーベラは憎らしげに笑みを浮かべた。


 裏切りは、絶対に許さない。



 ガーベラは灯ったモノアイを確認し、哂う。

 大きな身体と相手を捻じ伏せられる火力。ジェネラルと同じく自在に飛ばすことの出来るファンネル。そして、自分と同じ紅色の装甲。
 その佇まいは司令官の名を冠するに相応しい。

 そしてその胸が抱くものは、鈍く輝く紛い物のソウルドライブ。
 禍々しい色合いは、紅色に良く似合う闇。
 かつてジェネラルの体内で回る巨大な回路の中で見せられた残酷な真実を映したように、それは深淵であり漆黒。

「お前は私を裏切ることはできない。私に、そしてジェネラルに忠誠を誓え。その、悪意に染まったソウルドライブにかけて」

 嘲笑うことをやめることなく、起動したばかりの配下にガーベラは傅くよう命令した。
 僅かばかりに辺りを見回した相手は、ガーベラとその背後に佇むジェネラルの姿を見とめる。生まれたばかりのぎこちない動きで、赤い体がゆっくりと傾いた。

「ダークアクシズを仇なす者を滅ぼし、ジェネラルの御前に忌々しい奴等の身体を捧げよ」

 冷たい瞳でそれを見送ったガーベラは笑みを深める。

「コマンダーサザビー。私の手から生まれ出でたことに感謝しろ」


 真っ黒なソウルドライブが、きしりと歪んだ。
 それは偽物の方がたてた音だろうか。
 それとも、本物がたてた悲鳴だったのだろうか。





 僕のココロは、もう白くは戻れない。





 -END-





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コマ様喋ってない…;;ガベコマにも見えなくはないガベ+コマでした。
コマンダーを作ったのがガーベラであれば、こんな感じだったのではないかと。
(2005/12/18)



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