「もう一度、君に会えたのなら。真っ先に伝えたいことがあるんだ」
また、出会おう。
もしかしたら、過ちを辿るのかもしれない。
同じ日に、同じように作られて、同じ宇宙に飛ばされるために動く。
そうなるべくして、生み出すのかもしれない。
だけど忘れないで。
君が、必要だったから作ったって事を。
「システム、オールグリーン」
「スタンバイOK」
「エネルギー充填開始」
大きくて丸い、青い青い綺麗な目をしていた君。
憎しみの炎を燃やし、悲しみで彩られた赤い瞳の君。
黒い心も白い心も押し込めた紅の鎧は、君が作った君を守るものだった。
誰も信じず、また誰の存在も許さず、君は何処かで泣いていた。
でも信じなければ信じられないってことを、君は知っていたはずだ。
「充填完了」
「バイパス、繋ぎます」
「ソウルドライブ、燃焼確認」
灯る心の炎を、君は絶やさなかった。
憎い、憎いと言いながらも。人の温もりを跳ね除けながらも。
それでも君の炎は暗闇色に染まらずにいた。
ねぇ。
もしも、誰か一人でも君の傍にいることができたのなら。
君はその手を放さずにいてくれたかい?
「起動確認」
「AI、沈黙しています」
「呼びかけろ!」
マドナッグ。
――君の名を。
マドナッグ。
――君の名を。
君の名を、未来永劫忘れない。
それはいつか起こりうる絶望の形であるだろう。
嘆きの後に待つのは、ただ破壊と虚無だけなのだと知らなければいけない。
君が体現したように。
その過ちは、全力を持って正すことを誓おう。
繰り返される未来が待つかもしれないけれど。
誰しも、未来を作り出すために明日に向かって進んでいるから。
だから、一緒に歩き出そう。
今度こそ。
「AI起動確認。目覚めます」
「認証開始」
「貴方の名は?」
「GP-04マドナッグ」
今度こそ、手を取り合って。
「おかえり、マドナッグ」
-END-
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未来のマドナッグ起動にて。SDGの誰かということで。
一応、キャプテンかシュウトあたりを想像して下されば。
きっとあの一連の事件を見てきたものは、その影にいたマドナッグ(ガーベラ)の存在を忘れちゃいけないと絶対に思うはず。
それを戒めにしながら、明日へ旅立つのだろうと思います。
最終回でのキャプテンとシュウトのように、また会えることを信じて。
(2005/12/28)
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